タンゴとパーキンソン病- Tango & Parkinson Disease

こちらでよくペーパーの宿題や質問で聞かれることで、「あなたのAha Momentはなんでしたか。」というのがあります。日本語では、「わーそれ今すごくピッタリ来た!」とか、「ぼやっとしてたものがクリアになった」とか、「なんだか目からうろこ」みたいな瞬間と訳したらいいのでしょうかね。Oprah Winferyという人がTVで使って広まった、と私は勝手に思っているのですが、とにかく、いつでもそんなAha Momentはないのに「ありません」とは答えられず、無理やり絞って考えるから、もはやMomentでも何でもないという始末。とにかくこの質問は出すほうには人気ですね。

 

Aha Momentといえるかはわからないけれど、先日私の奥の奥に眠っていたものをまた刺激されたような経験がありました。それが、パーキンソン病患者のリハビリにとても有効とされているダンス、特にタンゴ!でした。

 

Health Conditionという病理学の授業では、それぞれケーススタディーを渡されて出された質問に答えながらパワーポイントなどを使って15分間のプレゼンテーションをするという課題が出ていました。私が当たったのは脳卒中のケースで初日の発表。その後、週に1回6名づつぐらい発表が続いています。そして脳神経系の病気に入った先日、パーキンソン病のケースに当たった生徒の発表がありました。

 

パーキンソン病といえば、マイケル・ジェーンフォックスやモハメッド・アリが有名ですが、脳神経の異常から動作のコーディネーションや顔の表情などなど様々な体の機能に影響する進行性の病気で、よく見られる動きのパターンに小刻みに足を動かした歩行が見られます。Festinating Gait(フェスティネイティングゲイト)と英語で言いますが、この動きが音楽にあわせて動くことでピタッと止まるのが上の動画で分かります。

タンゴのみならず、音楽に合わせたダンスならなんでもセラピー効果があるようなのですが、特にボールルーム系のダンスが有効とのこと。タンゴの曲はゆっくりと一つ一つのステップにアクセントがあって、特に高齢者にはいいんじゃないかと思っていましたけれど、Youtubeで検索すればこのダンス療法が注目されている様子がよく分かります。

もう一つ注目されているのがパーキンソン病とボクシング。

映像が見れない場合はhttps://www.youtube.com/watch?v=Ngeihe5MU9U こちらで見れるかな。ドーパミンのリリースがこういったセラピーにかかわっているようですが、ボクシングではパンチと一緒に声を出す練習もしていました(他の映像で)。パーキンソンの症状として、大きな声が出しずらくなるということがあるので、その対策にもなっているようです。

 

先日のクラスのゲストスピーカーは、2人のとてもスイートな元教員だったとういパーキンソン病患者のおじいちゃん達でした。その内の一人もダンスセラピーを楽しんでいて、来月オーストラリアに旅行に行く際には、ダンス音楽を持っていくつもりだといっていました。いつでもポータブルでできるセラピーだからね、と。付き添い兼プレゼンターのセラピストいわく、カルガリーのボクシングジムでもボクシングセラピーが最近実現したとのこと。それから、こういった患者さん自身の大学やいろいろな場所での公演、プレゼンテーションに選ばれるのは、元教師だった人が多いそうで、定年後ちょっとでも若者相手に話をすることが懐かしいのではないか、との考慮からだそうです。 それから、なぜか元教師という人でパーキンソン病になっている人が多い、なんてことも言ってましたが。

 

昔ダンスセラピストになりたいと思ったのが今の私の原点といってもいいので、好きだったタンゴがこんな風に患者さんとかかわれることを知ると、「ああ、もっと教えられるぐらいちゃんと習っておけばよかったなあ」と思います。しかし今は、何でも映像で独学がしやすい時代。あきらめず、心くすぶられるものはちょこっとでも続けていくべきかな、なんて、また新な野望。 いややっぱりタンゴはまた眠らせておこうという思いも半分。

 

それにしても、体を動かすことと音楽っていろいろなことにいいですね。改めて思います。 

皆様、よくお過ごしください。またすぐに。

Shizuko

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